イギリス・ルネサンスの特徴|いつ、なぜ起こった?
この記事ではイギリス・ルネサンスの特徴を解説しています。エリザベス朝文化、文学の黄金期、政治的背景などに注目し、いつ、なぜ起こったのについても詳しく探っていきましょう。

イギリス・ルネサンスの起源と発展の背景

William Shakespeare

ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)/イギリス・ルネサンス期の劇作家および詩人で、「ハムレット」「ロミオとジュリエット」などの作品で知られる。彼の作品は英語文学における最も重要な遺産の一つであり、人間性の普遍的探求を通じて広く共感を呼んでいる(出典:Wikimedia Commons Public Domainより)

 

「ルネサンス」と聞くと、主にイタリアやフランスが浮かぶかもしれませんが、イギリスにもルネサンス運動があったことは案外知られていません。イタリアから遅れて始まった文化的復興ですが、ヨーロッパの文学や劇、そして芸術などに多大な影響を及ぼしたんです。以下でそんな凄いイギリス・ルネサンスについて、成立背景や特徴、影響なども掘り下げて見ていきましょう。

 

 

イギリス・ルネサンスの背景

イギリス・ルネサンスは、16世紀から17世紀にかけて花開き、エリザベス1世(1533 - 1603)の治世で最高潮に達しました。イタリア・ルネサンスが15世紀に始まったのに比べ、少し遅れて始まったわけですが、なぜこの時期にルネサンスがイギリスで花開いたのでしょうか?

 

イタリア・ルネサンスの影響

イギリス・ルネサンスは、イタリアで始まったルネサンスの影響を強く受けていました。15世紀以来、イタリアでは、古典文化の再発見とともに、芸術や科学、哲学が発展し、それがヨーロッパ全土に波及しました。イギリスもその影響を受け、特に知識層や貴族が古典文化に目を向けるようになりましたが、地理的な距離、内戦(バラ戦争)や政治的混乱、宗教的保守性、そして国際的な文化交流の遅れが複合的に作用した結果、他のヨーロッパ諸国より開始が遅れてしまったというわけですね。

 

宗教改革と国際情勢

イギリスでは、16世紀初頭に宗教改革が進行していました。ヘンリー8世(1491 - 1547)の治世に始まった国教会設立によって、カトリック教会からの独立が図られ、政治や宗教の変革が進む中、新しい文化が育つ土壌が育っていたのです。そしてヨーロッパ各国の思想や文化が次々と取り入れられたことが、イギリス・ルネサンスの原動力となったわけですね。

 

エリザベス朝の繁栄

エリザベス1世の治世(1558 - 1603)は、イギリス・ルネサンスの最盛期として知られています。彼女の在位中、イギリスは経済的にも政治的にも安定し、文化や芸術が大きく発展しました。シェイクスピア(1564 - 1616)やエドマンド・スペンサー(1552 - 1599)といった偉大な作家たちが活躍したのもこの時代です。エリザベス1世は知識や芸術の庇護者となり、その支援がルネサンス文化の開花に大いに貢献したのです。

 

イギリス・ルネサンスの主な特徴

イギリス・ルネサンスは、特に文学や演劇、建築などの分野で顕著な成果を上げ、その影響は今日まで続いています。では、具体的にどのような特徴があり、その影響力に繋がっているのか見て行きましょう。

 

文学の黄金時代

イギリス・ルネサンス文学は、特に詩や劇が大きく発展した時代でした。ウィリアム・シェイクスピアはもちろん、そのほかにもクリストファー・マーロウ(1564 - 1593)やベン・ジョンソン(1572 - 1637)といった劇作家たちが、この時代多くの名作を生み出しました。

 

古典主義の再興

イギリス・ルネサンスは、イタリア・ルネサンスと同じく古典主義、すなわち古代ギリシャ・ローマの作品を理想とし、模範とする動きを基盤としています。古典的な詩や哲学を学び、その形式やテーマを取り入れることで、新しい文学や芸術が生まれました。

 

演劇が大衆文化に

またイギリス・ルネサンスにおいて演劇の存在が非常に重要です。シェイクスピア劇はもとからイギリスに根付いていた演劇文化に火をつけ、ロンドングローブ座には、一般市民から貴族まで、日々幅広い層が観劇に訪れるようになりました。演劇が一種の大衆文化として受け入れられたのも、この時期の大きな特徴なんです

 

シェイクスピアの劇は、人間の普遍的な感情や経験を描いており、さまざまな社会階層の観客に共感を呼び起こしました。彼の作品は、貴族や王侯の物語を扱う一方で、滑稽な登場人物やユーモアを取り入れることで、大衆にも親しみやすい内容だったからです。たとえば、『リア王』や『ハムレット』のような深刻な悲劇でも、コミカルなキャラクターが登場し、観客を笑わせる場面があるなど、幅広い層が楽しめる構造だったのです。

 

イギリス・ルネサンスの影響と遺産

イギリス・ルネサンスは、その後の英文学や芸術、そして科学にまで広範な影響を与えました。以下のように現代の文化や教育にも、イギリス・ルネサンスの影響を感じることができるんですよ。

 

英文学への影響

英文学において、シェイクスピアやマーロウの作品は、今日の文学作品に多大な影響を与え続けています。彼らの作品が世界中で翻訳され、読まれ、そして上演され続けることで、その文学的遺産は、現代文化にも強く根付いているのですね。

 

教育への影響

イギリス・ルネサンスは教育にも大きな影響を与えました。ルネサンス時代に設立された大学や学問の制度は、その後の啓蒙時代に引き継がれ、知識の普及と社会の発展に貢献しています。イギリス・ルネサンスというのは、後の科学革命、さらには近代化への画期となる産業革命の基礎を固めた、非常に重要な文化運動だったのです。

 

演劇文化への影響

イギリス・ルネサンスは、現代演劇に多大な影響を与えました。シェイクスピアをはじめとする劇作家たちは、言語の豊かさや人間の内面の複雑さを描く手法を発展させ、これが今日の演劇の基盤となっているからです。

 

シェイクスピアの作品は、現代でも普遍的なテーマ(権力、愛、復讐など)を扱っているため、依然として世界中の劇場で上演されています。

 

また、ルネサンス期に発展した公立劇場の形態が、現代の劇場文化にも引き継がれているのも特筆すべき影響の一つですね。

 

以上、イギリス・ルネサンスについての解説でした!

 

まとめると

 

  • イギリス・ルネサンスは16世紀後半から始まり、エリザベス朝で最盛期を迎えた。
  • 文学、演劇、古典主義が発展し、シェイクスピアやマーロウがその代表者となった。
  • この文化的復興は、現代の英文学や演劇、教育にも多大な影響を与えている。

 

・・・という具合ですかね。

 

つまるところイギリス・ルネサンスは文学と演劇を通じて現代にも深い影響を与え続ける重要な文化的転換期であるという点を抑えておきましょう!