ルネサンスってどんな時代?

ルネサンス時代の本質を探る

ラファエロの「アテネの学堂」(1509 - 1511年)
バチカン宮殿のスタンツェ・ディ・ラッファエロに描かれたフレスコ画。古代ギリシャの哲学者たちが集う場面を描いており、ルネサンス期の古代の知識や思想の復興という精神を象徴している。ルネサンス期の理性、科学、哲学に対する情熱がよく表れており、知的文化の頂点を示す作品とされる。

 

ルネサンス時代というのは「ヨーロッパ史上最大の転換点」といってもいいくらい重要な時代です。しかしそもそも、ルネサンスがどんな運動なのか、それが行われた時代がどんな背景を持ち、何をもたらしたのか・・・「中世末期の暗い時代を脱し、華やかな芸術が花開いた時代」・・・と漠然とはわかっていても「具体的にはあまり・・・」という人も多いのではないでしょうか。

 

確かにルネサンスは多様な芸術が花開いた時代ですが、それはルネサンスの一側面に過ぎません。実際には技術・社会・政治・経済・思想・宗教・・・様々な分野で、画期的な変動がありました。

 

そこを網羅的に抑えて「ルネサンス(再生)」という時代の本質が見えてくると思いますし、ルネサンスの本質がわかれば、ヨーロッパ史、ひいては世界史への理解もいっそう深まると思います。以下より様々な見地から「ルネサンス時代の変動」をご紹介していますので、是非参考にしてみてくださいね!

 

 

人文主義の時代

ルネサンスは、人文主義の精神に根ざした時代です。人文主義とは、古代ギリシャ・ローマの古典に回帰し、人間の理性や個性を尊重する思想のことです。この時代の知識人たちは、宗教中心の中世的な考え方に対して疑問を抱き、もっと人間らしい生き方を探求するようになりました。 人間そのものに焦点を当て、教育や学問が再び重要視されるようになったのです。その結果、学問の世界が広がり、後の科学や文学の発展の土台が築かれました。

 

文芸復興の時代

ルネサンスは、文芸復興の時代とも言われます。古典文学や哲学が再評価され、多くの作家や思想家が新たな創作に取り組みました。代表的な人物の一人が、イタリアの詩人ダンテ・アリギエーリ(1265 - 1321)で、彼の代表作『神曲』は、キリスト教的な世界観を描きながらも、そこには人間的な感情や葛藤が強調されています。このように、ルネサンス時代の文学は、宗教だけでなく、もっと人間的なテーマを扱うようになったのです。

 

ちなみに、「ルネサンス」という言葉自体が「再生」を意味しているのも、「古典の復興」を象徴しています。

 

芸術革新の時代

ルネサンス時代は芸術の革新が花開いた時代でもあります。イタリアのフィレンツェを中心に、芸術家たちが次々と名作を生み出しました。特にレオナルド・ダ・ヴィンチ(1452 - 1519)やミケランジェロ(1475 - 1564)といった巨匠たちは、写実的でありながら、理想美を追求する独特のスタイルを生み出しました。 この時代に完成された「遠近法」や「解剖学的描写」などの技術は、後世の美術に多大な影響を与え、今日のアートにも脈々と息づいています。

 

技術革新の時代

ルネサンス時代の革新は芸術にとどまりません。技術革新も大きな特徴の一つでした。ドイツのヨハネス・グーテンベルク(1400 - 1468)が印刷技術を改良し活版印刷術を発明、書籍の大量生産を可能にした為に、知識が広く共有され、教育の普及が進むようになりました。これにより優秀な科学者が育つ基盤が整ったことで、世の中を一変させるような画期的な発明、技術革新が行われるようになったのです。

 

世界探検の時代

ルネサンスはまた、世界探検が活発化した時代でもあります。上で述べた技術革新を背景に、天文学の進歩、羅針盤の発明、航海技術の革新などが行われ、大西洋を横断出来るレベルの長距離航海が可能になりました。それによりクリストファー・コロンブス(1451 - 1506)によるアメリカ大陸の発見や、ヴァスコ・ダ・ガマ(1469 - 1524)のインド航路開拓など、ヨーロッパが未知の世界に進出し、勢力を広げていく大航海時代が始まるのです。そして世界探検で得た広大な土地と莫大な資源は、後にヨーロッパが世界をリードする原動力となるわけですね。

 

商業繁栄の時代

ルネサンス時代は商業繁栄の時代でもあり、その背景には地中海貿易による都市国家の発展、大航海時代による新航路の開拓、金融システムの進化などがあります。まずイタリアの都市国家が地中海貿易で莫大な富を蓄え、特にヴェネツィアやフィレンツェでルネサンス文化が開花しました。大航海時代が進むにつれて大西洋貿易が台頭し、地中海貿易は徐々に衰退しましたが、地球規模の交易拡大に伴い商業が活性化し、富裕層が増加。その結果、パトロンとなる富裕層に支えられ、ルネサンス文化はヨーロッパ全域に広がっていきました。

 

宗教改革の時代

最後に、ルネサンスは宗教改革の時代でもあります。ルネサンス期は、中世から続いていたカトリック教会の権威が揺らぎ、マルティン・ルター(1483 - 1546)による宗教改革が始まった時期と重なりますが、これは決して偶然ではありません。ルターは「95か条の論題」でカトリック教会の腐敗を批判し、プロテスタント誕生のきっかけを作りましたが、これはルネサンスの人文主義者たちが推進した批判的思考や古典の再評価の影響なのです。

 

ルネサンス時代は、芸術や学問の発展だけでなく、技術革新や商業の繁栄、さらには宗教改革といった多様な側面を持つ重要な時代であるとわかっていただけたでしょうか。

 

まとめるとルネサンス時代とは・・・

 

  • 人文主義の時代:古代ギリシャ・ローマの思想を復活させ、人間の理性と個性を重んじた時代。
  • 文芸復興の時代:古典文学や哲学が再評価され、作家たちが人間的なテーマに焦点を当てた時代。
  • 芸術革新の時代:写実的で理想美を追求した革新的な芸術が生まれ、後世に大きな影響を与えた時代。
  • 技術革新の時代:活版印刷術の発明で知識が広まり、技術革新が進展した時代。
  • 世界探検の時代:技術革新を背景に、大航海時代が始まり、ヨーロッパの勢力が世界に広がった時代。
  • 商業繁栄の時代:貿易拡大と金融システムの進化により商業が繁栄し、ルネサンス文化の拡大を支えた時代。

 

といった具合ですね!

 

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